八十日間世界一周

いつも思うことだが、旅は日常を感じる非日常だと思う。それが国内であれ海外であれ、訪れた地には日常の生活があり、旅人はそれを少しおすそ分けしてもらうのである。それを旅人の日常の中に持ち帰って、評価して、次の旅へと向かうのである。風を感じてみ…

イマジン

蝉しぐれに悩まされていたのはいつのことだったのかと思うほど、今朝は冷えている。まとわりつくような湿度も、今は感じることはない。秋の夜長は面白い虫の声を愉しむのもいいが、早く訪れる夜は、空を見上げてふと星座を探すことも多くなってくる。15夜…

『ニュー・シネマ・パラダイス』(伊: Nuovo Cinema Paradiso)

今日の空はすっかり秋めいていて、うろこ雲がうっすらと覆っている。うろこ雲は俳句では秋の季語である。朝晩の寒暖の差が激しいこの時期に、放射冷却現象によってこのような雲となるらしい。外出には上着がほしい気温となってきたサインである。夏の低く垂…

森の哲学者

中学生の頃、ブラスバンド部に所属していた私は、毎年恒例の夏季合宿というものに参加した。夏休みの数日間、県内の山間部にある小学校を借り切って行われる。比較的街中で育った私にとっては、山間部で暮らした経験がなく、「街中で飛んでいるのと『蛾』の…

この空を飛べたら

近所にあるボールなどが飛んで出ていかないように設置してあるネットに、毎日夕刻になるとムクドリが集まってくる。みんな顔なじみ。おそらく同じ木をねぐらとしているのだろう。住処に戻る夕暮れ前のひととき、ガールズトークに花咲かせているのだろうか。…

愛の奇跡

今年日本に接近または上陸が予想される中では最大級の台風18号が、沖縄本島地方は通り過ぎたため解除されたが「特別警報」なる不気味な言葉を初めて聞いた。「数十年に一度の、これまでに経験したことのないような、重大な危険が差し迫った異常な状況にあ…

ケーキ屋ケンちゃん

運動会が近づいてきて、近くの小学校では予行演習が行われている。 BEGIN 島人ぬ宝 歌詞付 ビギン BEGINのヒット曲「島人ぬ宝」の曲に合わせて太鼓を叩く音と、「いーやーさっさー」の合いの手の声が、噴水のように空に広がって、その水滴がやがて虹を見せて…

ビートルズ「ライブ・アット・ザ・ハリウッドボウル」

季節の変わり目は、天候が不安定なことが多い。雷が「ぴかっ」と光ったと思ったら、「ゴロゴロ」と巨大なリバーブがかかったように空に響き渡る。夜空を一瞬昼のごとく照らし、巨大なティンパニーのごとく轟かせる。リバーブエコーとは、ちょうど風呂の中で…

「よしかわく~ん」

もうすぐ運動会なのだろうか、近所の学校では披露するダンスや綱引きの予行演習がされて、子供たちの黄色い声が反響している。今の親御さんは、いいカメラやビデオ機を持っているので、わが子の姿を鮮明な動画で撮影することができる。また、スマートフォン…

「8時だヨ!出発進行」

近所の学校のフェンスに、おそらく学校が植えたものと思うが、間もなく10月になろうとしているときに、へちまの実ができ始めていた。へちまに限らず、キュウリやゴーヤなどのうり類は、ツルを延ばして生い茂り、盛夏の時期には天然のカーテンになる。しか…

「君の名は」?

ちょうど台風16号が日本列島に接近している日に、ふと朝のテレビ番組で、大ヒットアニメ映画「君の名は。」の特集が組まれていた。 「君の名は。」予告 アニメ好きには常識だと笑われてしまうかも知れないが、その番組では、主要な舞台の一つが岐阜県の飛…

「虹を渡ってきた男」

台風一過は、空気中のゴミを洗い流して、曇りなき青空を連れてきた、と言いたいところだが、残念ながら今日は重たい雲が空を覆い、今一つすっきりしない。虹を見つけるのは偶然のことが多い。でも虹を見つけたときには、ほんのひとときであっても心洗われた…

「傘がない」

夜も更けた頃、雨音に起こされて窓を開けてみた。台風が近づいているらしいが、今のところ風はそうでもない。「ザーザー」と路面を叩き付ける音、「コン、コン」と何かに落ちる音、時々車のタイヤが路面に溜まった水たまりを切り裂く音、耳を澄ませば限りな…

「困っちゃうナ」を「狙い撃ち」

高校野球も終わって、プロ野球もセ・リーグは広島カープが優勝して、ペナントレースは終わろうとしている。リオ・オリンピックも、パラリンピックも終わった。オリンピック開催前には、選手村の施設の不具合や、治安問題、ブラジルのルセフ大統領が弾劾裁判…

恋のぼんちシート

1980年代は、バブル真っ只中の頃だったと思う。地上げという問題が出ていたし、学生の就職は売り手市場だった。みんなが、いわゆるDCブランドに走り、高級車を乗り回し、みんながタクシーを使うためなかなか拾えないような状況だった。テレビではトレン…

大きな古時計

子供の頃に、幼稚園や小学校で初めて習った楽器を覚えているだろうか。カスタネット、ハーモニカ、リコーダーはすぐに思い浮かぶだろう。では、子供の頃に習った童謡を覚えているだろうか。「春の小川」「春よ来い」「雪やこんこ」「七夕さま」など枚挙に暇…

BOSE(ボーズ)のスピーカー

私の学生の頃には、たまに大型のラジカセを山手線の車内に持ち込み、大音量で鳴らしている迷惑な輩がいるのを見かけた。 伝説的ディスコ「キング・ムー」復活 札幌 (2016/04/30)北海道新聞 世はディスコブームで、いわゆるバブル期到来の頃だったのだろう…

「『いちご白書』をもう一度」というバトン

時間は一瞬たりとて止まることはない。常に川のように流れ、例えば親・子・孫のように、一人の体の中に、両親の持っている遺伝子というバトンを受け取り、エッセンスを残しつつ、また周りの環境を取り込みながら、新たな人間として生まれてくる。両親もその…

ピンキーとキラーズ

すっかり蝉しぐれは聞こえなくなった。学校のプールは、9月頃になるとだんだん使われなくなる。子供たちの黄色い声が去ったプールは、水が淀み、やがて藻が生え、枯れ葉などのゴミが浮き、次の夏まで長い眠りの時を迎える。子供たちは、日焼け跡を手土産に…

「初恋」は「ロマンスカー」に乗せて

♪「初恋」は「ロマンスカー」に乗せて私の10代の頃は、フォークブーム真っ只中にあった。その昔「テレビジョッキー」という番組があって、「白いギター」をプレゼントするほどであった。 白いギター チェリッシュ 1973 チェリッシュの曲に「白いギター」と…

ブルーライトヨコハマ

♪ ブルーライトヨコハマ現在、BSで以前放映されていた「てるてる家族」が再放送されている。原作は、日本を代表する作詞家の、なかにし礼さんの小説「てるてる坊主の照子さん」である。 上原多香子 大晦日「ブルーライト横浜」『てるてる家族』より2 女優い…

ソウブ・トレイン

ソウブ・トレインかつて関口知宏さんの、『列島縦断 鉄道12000キロの旅 〜最長片道切符でゆく42日〜』という番組が放映されていた。番組タイトルそのままに、同じ駅を通ることなく北海道の稚内駅から佐賀県の肥前山口までを走破したこの番組で、テーマ曲とな…

上高地とホルン

上高地とホルン私の中でナンバーワンの思い出のアルバムといえば、迷わず大瀧詠一さんの「ロング バケーション」を挙げる。1981年に発表されたこのアルバムは私が二十歳の時の作品である。その当時でも新しさの中にどこか懐かしさを感じさせるサウンドが…

元ミュージシャン

元ミュージシャン志村けんさんのアルコール飲料のコマーシャルで、バカ殿から一転三味線を華麗に弾く姿に感動を覚えた方も多いと思う。 氷結 「あたらしくいこう 志村けん」篇 30秒 バカ殿からはとても想像できないが、それもそのはず彼は元々ミュージシャン…

コッキーポップ

コッキーポップ先日、静岡県掛川市にある「ヤマハリゾートつま恋」が営業を終えるというニュースが飛び込んできた。 つま恋WPCM2016 施設の老朽化や経営状態の悪化が主な原因とのことだが、その発表に衝撃を受けた方は多いと思う。私は現地を訪れたことはな…

寸又峡とSL

寸又峡とSL最近テレビを見ていると、関西地方以外の方が「めっちゃ・・・。」という言葉を使っているのをよく耳にする。もともとは関西弁だと思うのだが、関西の人気芸人さんが東京に進出して関西弁の露出が増え、特に若い人は響きの面白さもあって抵抗なく…

女体入口と千畳敷カール

女体入口と千畳敷カール 気象庁の梅雨明け宣言は学術的には正しいのだろうが、私としてはセミが鳴き始めたら「ああ、夏が来たな。」と思う。「桜の開花宣言」のように「蝉の初鳴き宣言」をし セミの声 2011 (クマゼミ,ミンミンゼミ,アブラゼミ,ツクツク…

月とうさぎ

月とうさぎ今朝は湿度が低く、爽やかな朝だ。窓を開けてみると赤とんぼが数匹飛んでいるのが見えた。秋の訪れと呼ぶにはまだまだ早いが、着実に近づいているのは何となく分かる。今夜の満天の星空と鮮やかな月の光を予感させる。 赤とんぼの唄 あのねのね 20…

日本海3号

日本海3号夜行列車は衰退の一途を辿っている。夜行列車に代わる交通網が整備され、例えば新大阪を朝一番の新幹線のぞみ(6時ちょうど発)に乗れば8時半には東京駅に着く。値段を追及するなら高速バスもある。特に夜行列車を使う必要が激減しているのだ。…

小海線(八ヶ岳高原線)

小海線(八ヶ岳高原線) 青い山脈(1957) 皆さんは「青い山脈」という歌や映画を知っているだろうか。もちろん戦後間もないころのもので、私はまだ生まれてもいない、つまりリアルタイムでは知らない世代である。昭和22年に朝日新聞で連載され、昭和24年…