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大きな古時計

子供の頃に、幼稚園や小学校で初めて習った楽器を覚えているだろうか。
カスタネット、ハーモニカ、リコーダーはすぐに思い浮かぶだろう。
では、子供の頃に習った童謡を覚えているだろうか。
「春の小川」「春よ来い」「雪やこんこ」「七夕さま」など枚挙に暇はないだろう。


ジェリコの戦い The Battle of Jericho 【あづみ野うたごえ喫茶】

私はなぜかジェリコの戦い」が印象に残る。
哀愁を帯びたメロディが耳から離れない。
だいぶ後になって知ったことだが、「ジェリコ」とは、イスラエルやヨルダンに近い古代オリエント時代に実際にあった街の名前で、「ジェリコの戦い」はかなり宗教色の強い歌である。
なぜ日本の童謡として取り入れられたのかは分からないが、黒人霊歌としての成立は、かつて人身売買でアフリカから連れて来られた黒人たちが、望郷の念を「神のご加護でジェリコを攻め落としたジョシュア」に託して歌ったのが始まりとのことである。

ある時、近所の道を歩いていると、道に面しているマンションのどこかの窓から、リコーダーを練習している音が聞こえてきた。
多分授業で習ったのだろう。
何度もつっかえながら同じフレーズが繰り返されている。


大きな古時計

どこか聞き覚えのある曲大きな古時計だ。
この曲はどのようにして出来たのだろうか。
作者であるヘンリー・ワークは、劇場公演に加わるために訪れたイギリスで、小さな民宿ジョージホテル」に宿泊した。
ホテルに入ったところ、針の動いていない古い時計があるのを不思議に思い、宿の主人に尋ねたところ、この時計はもともとのオーナーであるジェンキンズ兄弟の兄が生まれたときに購入したものであること。
もともとは非常に正確に動く時計だった。
あるとき、弟が病気で亡くなると遅れ始めた。
一年後に兄もこの世を去った。
友人が集まったとき、この時計は兄の亡くなった時刻で止まっていたという。
この話に強くインスパイアされたワークは、その逸話をもとに一晩で書き上げたものが原曲である。
この時計は、生涯を独身で過ごしたという兄弟とともにあった。
兄弟の時間を刻んでいた。
そして兄弟の魂とともに、今も同じ場所にいる。
子供の頃は、そんなことは全く考えずに歌っていた。
噛めば噛むほど味が出る歌とは、こういう曲をいうのだろうか。
子供の頃に聞いた歌、歌った歌は、心のどこかで生き続けて、やがて実を結ぶことだろう。


関西地区では、ある不動産会社が「大きな古時計」のメロディを使って替え歌を作り、それに乗せて住宅展示場のコマーシャルを流している。
このコマーシャルは顔の部分に景色が透けて見えるのだが、どのように撮影したのかが妙に気になっている。


100年住宅ゼロホームCM 「フリーダイヤル」篇