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安曇野紀行

安曇野紀行
青春18きっぷは一枚で5回(日)分ある。従って余ってしまうこともよくある。昨今チケットショップでは使い残したきっぷが売買されて、一回分としては割高にはなるものの必要回数分を手に入れることもできる。通年使用は出来ず、購入したときに該当する期間内しか使用できない。主として学生の夏季・冬季などの休みに合わせてあるようだ。青春・・・と名前はついているが、年齢に制限はなく何歳でも使用することができる。逆に子供料金の設定はない。尤もこのきっぷを使用して旅をしてみようという方は、その気持ちをもった段階ですでに生涯青春だと言って差し支えないだろう。
案の定余ってしまったきっぷをどうしようか考えていたが、久しぶりに安曇野に行ってみることにした。安曇野は私のお気に入りの場所の一つである。気候冷涼、自然豊かで緑濃く、水澄んで、それでいて美術館が点在するなどどこか洗練されている部分もある。東京(新宿)からは特急あずさ号で松本から大糸線に入る直行便もあり、意外に便利であり、訪れた方も多いと思う。因みに兄弟デュオ狩人のヒット曲「あずさ2号」は、実際には1978年10月2日のダイヤ改正、いわゆるゴーサンートオによって、下りが奇数に、上りが偶数に変更されたため、現在ではこれに該当するのは、「あずさ3号」となっている。


狩人 / あずさ2号 (1977)


あずさ2号 歌詞の一部(出だし)
明日私は旅に出ます
あなたの知らないひとと二人で
いつかあなたと行くはずだった
春まだ浅い信濃路へ
大阪からも日に一往復、特急しなの号が走っている。新幹線で名古屋乗り換えという方法もあるが、乗り換え時間のロスや手間を考えればさほど変わらない。
因みに前回に述べた下呂温泉にも大阪から下呂・高山方面には特急ひだ号が走っていて、岐阜駅で名古屋発のひだ号と連結作業をして走る。名古屋発のひだ号は名古屋駅から岐阜駅までは座席の向きが逆で走る。それは、岐阜から高山本線に入るときに進行方向が逆向きになるからだ。それにしても昨今の特急列車は社内販売がどんどん廃止されてきており、時代の流れや売り上げ減など様々な理由があるのだろうが、不便になったなと思うのは私だけではないだろう。
旅の楽しみのひとつに駅の立ち食いそば巡りや、駅周辺の食堂・喫茶店を利用するというのがある。意外に美味しい店があり見つけたときは望外の喜びがある。それはチェーン店では出せないその店オンリーワンなのである。松本に立ち寄った際には必ずと言っていいほど駅の立ち食いそばを利用する。安価でかつ美味い。西日本ではなかなかこの味にはお目にかかれない。


山野草の駅そばがマジうま過ぎるってば@松本駅


ところで、この立ち食いそば業界も相次ぐ閉店やチェーン店化の荒波を受けているそうである。実際のところ私の暮らしている地域でも駅構内やエキチカにあった店の閉店を何度も見聞きしている。そもそも私の立ち食いそば巡りの発端となったのは、高校生の頃よく使っていた駅の店で、生まれて初めて食べた「冷やし山かけそば」に由来する。そのあまりのうまさに感動して、また食べ盛りでもあったので、いつも3杯分頼んで食べていた。当然今のように券売機なるものはなく、代金先払い方式である。そば屋の店員さんは内心笑っていただろうな、と当時はヤセの大食いだった自分を時々思い出す。 
話を戻そう。
今回のルートは、大阪~米原米原~大垣、とここまでは下呂温泉のときと変わらないのだが、大垣から岐阜を通過して名古屋まで向かう。名古屋から中央本線で中津川、中津川~松本、松本から大糸線穂高到着、一泊した後同じ道を帰るという旅程である。今回の旅ではないが、青春18きっぷの、どこでも途中下車できる利点を生かして、何度か岐阜駅で降りて駅周辺を食事場所を探しがてらブラブラと歩いたことがある。値段の手頃なステーキハウスや中華料理の店など、訪れたときに是非行ってみたい店も出来たし、美川憲一さんの歌で有名な柳ケ瀬を歩いてみたりと、思い出深い場所となった。
大垣から特別快速 豊橋行きに乗り、名古屋で下車。名古屋駅には以前行ったことのある立ち食いのきしめん屋がある。立ち食いできしめんを出しているのは中部地方だけではないだろうか。当然私もそれまでは食べたことはなかったのだが、食べてみると少し濃いめのだしが平たい面によく絡み、薬味のように上に散らしてあるかつお節も嬉しく、想像以上に美味しかった。


名古屋駅ホームで立ち食いきしめんを味わう(住よし)【ニッポン旅マガジン】

ただ今回は乗り換え時間の関係で、食べることは叶わなかったが、ぜひまた食べてみたい。名古屋駅中央本線中津川行の快速電車に乗り換えである。名古屋から中津川まではおよそ一時間半である。
中央本線(厳密には中央西線)は、愛知県から岐阜県、長野県を通っていく。馬篭妻籠・奈良井の日本を代表する宿場町がある。個人的には妻籠宿が好きではあるが、各宿場町とも非常に趣がある。各々開発や都市化から外れ、歴史の一時期忘れかけられた地域であったことが逆に功を奏し、一種独特の雰囲気を醸し出し、また残している。以前三地域とも訪れたことがあるが、旧中山道添いだったこの町はその昔さぞかし賑やかだったことだろう。栄枯盛衰を思わずにいられない。
中津川駅では次の乗り換えまで一時間以上あるので、ここで昼食を取ることにした。駅周辺をブラブラしていると、一件の食堂に目が止まり、こちらに決めた。中津川駅には立ち食いそばの店があり後ろ髪を引かれる思いもあったが、今回は新しい店を開拓したい思いもあったので次回にお預けとした。その食堂で注文したのがラーメンだったが、なるとの乗った昔ながらの中華そばといった感じで、あっさりしょうゆ味がうれしい、いい店を見つけたな、いうひとときだった。
中津川駅から松本行き普通電車に乗る。中津川駅に着くまでにも名古屋からも比較的近いところに古虎渓(ここけい)というなかなかの絶景ポイントがあるのだが、中津川以北には渓谷美を誇る場所が続く。寝覚めの寝床など素晴らしい景色、木曽といえば高級木材の産地である、その森林の中を列車は駆け抜けていく。路線の大半は複線であるが、一部単線区間があり列車行き違いのため止まる駅がある。前述の奈良井駅を過ぎ、家々の数が増えて、平たい地形になったところで塩尻駅に到着である。
塩尻駅は新宿方面からの、


【塩尻駅】普通松本行きJR東海からJR東日本(女性車掌)に乗務員交代【ニッポン旅マガジン】

いわゆる中央東線と名古屋方面からの中央西線の交わる駅である。この駅まではJR東海管轄であるが、ここから先はJR東日本管轄となる。従ってここで名古屋方面から来た電車は乗務員の交代となる。塩尻から松本まではわずかである。松本駅では、いつも変わらない節回しで流れる「ま~つもと~」の駅名アナウンス


【まつもと~】松本駅到着アナウンス【まつもと~】


碌山美術館🌚

がうれしい。松本から大糸線に乗り換え目指す穂高駅へと向かう。穂高駅周辺は観光スポットが多く、また温泉地でもある。冬季には閉鎖となってしまう名湯中房温泉を周辺の旅館・ペンションに引湯しているので、値段が手頃で温泉付きの宿が多い。美術館も多数あり、また標高が高い場所ではあるが平坦な地形なので、時間にゆとりがあれば自転車などでゆったりと回ってみたい。今回は温泉付きペンションで一泊した。このあたりは昼には気温は上がるものの夜にはスッと温度が下がり、夏真っ盛りの時期ではあったが窓を開けていればエアコンは要らない。聞いたところ熱帯夜はめったにないとのことである。うらやましいなと思った半面、冬は雪こそさほど多くないものの気温がかなり下がり、氷点下二桁の日もあるとのことである。また、このあたりはその昔、地下に大きな岩が多数あり、そのままでは農業に不向きな場所だったが、先人たちがひとつづつ取り除いて農地に改良していったそうである。水清らかな場所でもあり、わさびが有名である。そのわさびを手土産にして家路へと着いた。